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一般財団法人先端建設技術センター WEB記事

簡単にi-Construction を実践する!ドローン管理の秘密兵器を開発するYDN(取材日:H29年5月12日)

専用アプリによるドローン撮影の様子

DJI 社製ドローン「MAVIC」


 平成28年度、国土交通省の直轄事業において、ICT土工を実施した工事は506件に上る。このICT土工で最も多く活用されているのが「UAV(ドローン)」である。
 工事の規模にもよるが、ドローンによる測量等を活用することで、現場での作業負担を軽減できる。ただし、ドローンを積極的に活用するには、機体の操作経験はもとより飛行管理ソフトの知識も必須である。
 「やんちゃな土木ネットワーク(YDN)」では、このドローンの自動航行をより簡単に管理できるiPhone用アプリの開発を行っている。
 今回は、YDNで活躍する(株)正治組 大矢氏、(株)山口土木 松尾氏の2人に開発経緯や実際の操作性について話を聞いた。

開発のきっかけについて語る(株)正治組 大矢氏

 先ずは、アプリ開発のきっかけについて話を聞いた。
 これまで、現場でドローンによる測量を行う際は、ドローンの飛行経路と自動航行用のソフトを個々に設定する必要があった。
 さらに現地にて、図面では確認できなかった電線や樹木等の障害物がある場合、飛行経路の設定をやり直しせざるを得なかった。
 結局、事務所に戻って、現地で得た情報を元にやり直す、その作業の繰り返しだった。
 大矢氏は、この無駄とも思える手間を何とかしたいと考え、平成28年8月頃からドローンの飛行経路と自動航行のソフトを1つにし、現場でも簡易に操作できるiPhone用アプリの開発に着手した。

これまでのICT土工の取り組みについて語る(株)山口土木 松尾氏

 一方で、平成28年3月には国土交通省からi-Constructionの15の基準が公開され、翌4月からは、この基準に準じたICT土工が直轄工事で推奨され始めた。
 ICT土工では、ドローンによる起工測量、出来形測量等で推奨されているが、実際に取り組んでいる施工会社は少なく、未だ難しい取り組みであるとの認識を持つ土木関係者は多い。
 松尾氏は、i-Constructionが始まる2年前からドローンを使った測量等、自社施工において省力化、省人化を進めてきており、その絶大な効果を感じている一人だ。そのため、i-Constructionを難しいものと考えず、できるだけ多くの施工会社に積極的に取り組んでほしいという思いもあった。

専用アプリ「Drone-ize」             「Drone-ize」起動画面

 このアプリの開発コンセプトは、中小の建設企業が簡単にi-Constructionに取り組めること、現場で楽しんで、楽ができること、最後にしっかりと利益を生むこと、である。
 現在、この専用アプリ「Drone-ize」は、YDNの会員企業内で実証を進めている。

①対象の施工現場表示                 ②飛行範囲の設定

 設定方法について、まず、このアプリを使うにあたっては、i-Construction基準を意識する必要はない。
 アプリを起動させ、①対象の施工現場を地図上に表示し、②飛行範囲をタップしながら設定する。飛行エリアはタップしながら広げたり、狭めたりするだけなので操作が至って簡単である。

③カメラ設定(ドローンの機種選択)

 範囲設定が完了したら、③カメラ設定を行う。「Drone-ize」はDJI社製のドローンを対象としており、使用する機種を選択するだけでカメラ設定が完了する。

④ミッション設定(左:任意設定、右:i-Construction 基準設定)

 次に、④ミッション設定である。
 ミッション設定では、ドローンの飛行速度や高度を指定し、カメラ撮影の解像度やシャッター速度を任意に設定することができる。
 各パラメータを指でスライドさせると数値が変更でき、数値がi-Constructionの基準値内の設定であれば、「i-con対応」と画面上部中央に赤字で表示され、基準値外になると「i-con非対応」対応と表示されるので、設定が非常に簡単でわかり易い。

⑤自動航行ミッション完了後の設定

 ミッション設定が完了したら、⑤自動航行ミッションが完了した際の設定を行う。
 測量が終わった時の最終地点到達時の動作として、その場でホバリングする「停止」、出発地点へ自動で帰還する「帰還」の中から選択できる。更にこの画面では、指定した範囲に対して少し余裕を持たせて撮影する「外側のはみ出し」機能の有無も選択することができる。

⑥経路選択と実行

 最後は、⑥ミッションの選択と実行である。
 全ての設定が終ると「ミッション○」という名称でアプリ内に保存される。
 過去に保存した設定も呼び出し可能で、一覧に表示されるミッションから選択し、実行ボタンをタップすれば、ドローンが自動飛行を始める。
 画面で設定した内容を帳票形式に出力し、飛行計画書を作成する機能も現在開発中とのことである。施主に施工計画書と一緒に、地上解像度やオーバーラップ、サイドラップ等の算出根拠を事前に提出することも可能になるそうだ。

 最後に一通りの手順を動画で確認頂こう。
 他のスマホのアプリと同様、タップしながら設定するだけである。
 これだけで、国土交通省が推進するi-Constructionに準拠したドローンの公共測量を行えるのだから、このアプリを使わない手はない。
 今後は、Android向けのアプリも開発するとのことだ。

「Drone-ize」で設定する筆者

 実際に筆者もお二人のご指導の下、「Drone-ize」を触ってみたが、i-Constructionの基準を把握していなくても、必要事項を選択していくだけで設定することができた。また、設定した情報は保存できるので、例えば、出来形を計測したい時でも、保存した設定内容を呼び出せば同じルートを自動飛行して撮影することができる。毎回、設定に悩む必要なく計測できるのではないかと感じた。
 これだけ簡単に設定できれば、今からICT土工に取り組もうとしている中小の建設企業も、簡単に取り組めるのではないだろうか。
 取材当日は天候不良により、現場でドローンを飛ばすことはできなかったのが残念だったが、YDNの中では、このアプリを活用した工事実績も出てきており、リリース準備も終盤とのことだ。
 「土木で日本を強くする」と意気込むYDN の動きから目が放せない。
 なお、「Drone-ize」は、NETIS 登録・NETISプラスDB登録も進めているということで、こちらも期待したい。

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